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「壊されるまともな働き方」と解決方法

『ビッグイシュー日本語版 VOL.313(2017.6.15)』(ビッグイシュー日本)の特集記事「壊されるまともな働き方」における、森岡孝二さん(関西大学名誉教授)のインタビュー記事を読みました。

内容を要約すると以下の通りです。

 

今日の雇用の場において「雇用身分制度」が確立されつつある。

「雇用身分制度」とは、正規雇用を頂点に派遣労働者や個人請負を底辺としたピラミッド型の雇用関係の構図であり、この「雇用身分」に基づいて労働条件や待遇条件の「差別」が正当化され固定化されている。

 

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その結果として、低賃金を補うためのダブルワークの問題、それに伴う長時間労働、労働強化、過労死・過労自殺の問題などといった深刻な労働問題がもたらされたばかりではなく、ワーキングプア層の激増によって労働者平均賃金の低迷が長期化し、格差や貧困が深刻化してしまった。

 

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このような「まともでない働き方」が広がった背景には、新自由主義的な政治経済思想と「株主資本主義」の復活があげられる。

すなわち、市場至上主義と株主利益最優先主義による圧力は、労働法規制緩和、人件費の極限的圧縮、不安定な雇用関係の増加を促進してきたのだと。

これ以上この労働破壊と貧困問題を放置すれば、日本社会そのものが成立しなくなってしまうと森岡氏は警鐘を鳴らされています。

最後に、雇用身分制度を壊し「まともな働き方」を取り戻すためには、以下ような取り組みが重要だと指摘されています。

 

  • 非正規労働者の割合を80年代の水準20%以下に戻すこと
  • 非正規でも普通に暮らせるよう地域最賃を平均1000円に緊急に引き上げ、さらに地域最賃の全国一律1500円を実現すること
  • 貧困問題は社会全体の問題だという理解を広め、市民運動・社会運動・労働運動が一体となって政策提言していくこと

 

以上のような「まともな働き方」を取り戻す社会的影響力を発揮するためには、それだけの運動体になる必要があり、つまりは非正規労働者の組織化がとにかく急がれるのではないかと思いました。

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